
今回の講師は、明治国際医療大学准教授でいらっしゃる福田文彦先生に、大学のある京都からおいで頂き講演をお願いしました。

演題 うつ病(うつ状態症候群)に対する鍼灸治療
要旨
近年、心の病、特にうつ病(うつ状態症候群)は増加傾向を示している。このような状況のなか、鍼灸師がうつ病患者を適切に診察・治療するためには、「医師との連携(補完医療)」「適切な患者教育」「鍼灸治療」が必要である。
我々は、うつ病患者の気帯、肝・心の病証ととらえて薬物療法に併用して鍼灸治療を行っている。基本治療穴を中心に症状に応じて、胸苦しさ、無気力、不眠、食欲不振などの症状に対する治療を行っている。
脳にある脳報酬系とは快情動に関与する部位であり、やる気、学習、仕事、人間関係などにおいてポジディブな行動を引き起こすとともに、気分の改善やストレスの緩和、疼痛緩和にも関与している。その反面、社会問題であるアルコール依存症や薬物依存症にも大きく関与する脳領域でもある。
鍼灸臨床では、身体症状の軽減や鍼灸師と患者との良好な関係は脳報酬系の賦活に繋がる。それとともに鍼灸刺激が直接、脳報酬系を賦活する可能性が我々の基礎研究で明らかになりつつある。
治療に関して鍼灸師は、患者の訴えをよく聴き、親切な患者教育(病気に対する正しい知識、考え方など)、時には薬物療法と併用して鍼灸治療を行えば、鍼灸はうつ病の患者にも有効な治療法になりうると考えられる。

このような内容で講演をして頂き、またその後、治療法を実技指導して頂きました。

昨今、世の中が複雑化して、社会適応能力、人間関係、将来への不安などによるストレスから心が病み、うつ症候群の症状を訴えられる患者さんも多く来院されます。

今回のこの講演のお話の中にもありましたが、うつ病(うつ状態症候群)の発症のメカニズムとして、内分泌系のホルモンであるセロトニン、ノルアドレナリンの分泌の低下が起こっています。
福田先生らの基礎研究でも、鍼灸治療を行うことによって、セロトニン、ノルアドレナリンの分泌が増加することが分かっています。

再度、今回の講演内容を思い起こし今後の鍼灸治療に役立て、うつ症状でいる方々の症状を緩和して、より一層お役に立ちたいと思いました。
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明治国際医療大学